節税セレクト Vol.9 旅行が節税になる!?福利厚生費の活用で実現する投資系節税「社員旅行」

お金の支出:あり

節税効果:○

導入のしやすさ:○

従業員から、社員旅行は開催しないんですか?って言われたんだけど、いまどき参加してくれる社員っているのかなあ。この前だって、若いメンバーを飲み会に誘ったのに、結局半分くらいしか来てくれなったからなぁ・・・

それはドンマイだニャ。日々の行いが人望につながるのニャ・・・でも、社員旅行はおすすめの節税方法の1つニャ!従業員同士の親睦を深められる上に、福利厚生費として全額損金算入できるという、会社にとって非常に大きなメリットがあるんだニャ!

目次

社員旅行でかかる経費は、福利厚生費として経費計上が可能

社員旅行を毎年実施している会社ってありますよね?

最近は飲み会1つでさえ若者から敬遠される世の中で、会社がお金を出してまで、社員旅行を実施するメリットって何だと思いますか?

最初に思い浮かぶのは、社員同士の親睦を深め、業務から離れリフレッシュしてもらうことで、仕事へのモチベーションをアップさせるため、という事かなと思います。

でも、会社のメリットはそれだけではないんです。

社員旅行でかかった費用は福利厚生費として会社の経費として計上でき、大きな節税効果を生み出すメリットがあるのです。

もちろん、福利厚生費として認められるためには、一定の条件をクリアしなければなりません。

今回はその条件について、詳しく説明していきます。

社員旅行が福利厚生費として認められる4つの条件 

  1. 社員全員が対象
    福利厚生費は、その性質上、皆が平等に受けることが出来る便益の享受を目的としていることから、特定の社員(例えば役員だけなど)のみを対象とするのではなく、雇用している全ての社員(アルバイト等を除く)を対象とする社員旅行でなければなりません。 
  2. 参加者が全社員の50%以上であること
    全社員を対象とする旅行のため、最低でも半分は参加しないと認められません。そのため、50%以上の社員の参加がないと『福利厚生費』として費用計上することができません。
  3. 旅行期間が4泊5日以内

    税務上では、社員旅行の社会通念上相当の期間を最大で4泊5日と考えているようです。この期間内であれば、国内旅行でも海外旅行でも構いません。なお、海外旅行の場合には、移動時の時間は考慮せずに、現地滞在時間が4泊5日以内であればいいとされています。

  4. 社会通念上相当の金額の範囲内(約10~15万円)

    金額の面でも、一般的な金額の範囲内でないと『福利厚生費』として認められていません。一般的な金額については特に明示されていませんが、過去の判例国税庁の示している事例によると、社員1人あたりの会社負担として10万円程度、多くて15万円程度が上限と考えられています。

福利厚生費と認められないケース

上記の要件を全て満たした社員旅行でも、次に該当する場合には、福利厚生費ではなく給与や賞与とみなされ、源泉所得税の未徴収であったり、役員の場合には給与の損金不算入になったりと、かえって多くの税金を払う羽目になる可能性があります。 

  • 不参加社員へ現金支給した場合

    不参加の社員に対して金銭を支給した場合には、不参加の社員のみならず、参加した社員に対してもその金銭分を支給したとみなされます。

    そのため、参加した社員に対する社員旅行費用から金銭を支給したとみなされた金額を控除した金額しか『福利厚生費』として認めれられず、それ以外は『給与』とみなされ、課税対象となってしまいます。

  • 旅行or金銭支給の選択式になっている場合

    まれに、社員旅行を行う会社で、参加者が社員旅行にするか、旅行に行かない代わりに金銭をもらうか選択できる会社もあります。

    社員旅行とは、そもそも社員同士の親睦を深めたりリフレッシュするためのものと考えられます。

    そのため、選択式の社員旅行はそもそも目的から外れているため、『福利厚生費』には該当しません。

家族を旅行に同伴させたい場合

  • 家族が従業員でない場合
    従業員が社員旅行に行く際に、従業員でないその家族の旅費も会社で負担した場合は、従業員である本人の分も含めた家族全員分の旅費がその従業員の給与所得として課税されてしまうため注意が必要です。
    どうしても家族を社員旅行に同行させたい場合については、家族分の旅費は従業員に実費で支払ってもらう必要があります。

  • 家族に従業員がいる場合
    家族が従業員である場合には、当然その家族については福利厚生として認められます。
    ただし、社員ではない子供が旅行に同行する場合については、子供の旅費分は実費で支払う必要がありますので注意しましょう。

  • 同族会社で会社に自分の家族しかいない場合
    同族会社の場合、役員や社員を含め家族だけで構成されているケース(家族経営)が非常に多いです。
    これについては、残念ながら経費化できないようになっています。
    配偶者や子供が従業員として働いているにしても、家族だけの旅行である以上、「社員旅行=家族旅行」となってしまうからです。
    実際に過去の判例でも会社側が敗訴しているようです。

税務調査のための対策

税務調査などで社員旅行について調査が入った際、領収書以外にも次のようなものを確認してくることがあります。

税務否認されないためにも、旅行に行く前から準備しておきましょう。

  • 旅行の日程が確認できるもの
    大手旅行会社などに委託した場合には送られてきますが、会社で独自にバス等を借りて個別に宿を手配した場合などは、旅行のしおりなどがあると良いでしょう。
  • 全社員への通知
    メールなど、社員旅行の案内に使用した媒体を保存しておきましょう。
  • 参加者名簿
    名簿は用意できなくとも、バスや新幹線の座席や宿の部屋割りなどは用意しましょう。
  • 写真などの証拠
    社員旅行では、少なくとも1枚くらいは全員の集合写真があるものです。現在はスマホにより日常茶飯事に写真が撮られているため、証拠を残すうえでも何枚かは撮っておきましょう。

 

なるほど!社員旅行って、従業員だけじゃなく、会社にとっても節税の恩恵を受けられちゃうんだね。でも、確かに私的な旅行との線引きが難しそうだから、その条件の理解や準備をしっかりしておくことが大切だね。

そういうことだニャ。社員旅行が福利厚生費として認められず、税務否認されるケースはよくあるんだニャ。福利厚生費として認められる条件などの判断に迷った時は、一度税理士に相談するのがベストニャ!