節税セレクト Vol.10 決算間近でもまだ間に追う!会社と従業員共に嬉しい投資系節税「決算賞与」

お金の支出:あり

節税効果:○

導入のしやすさ:◎

決算も近づいてきたし、いろいろと数字を整理してたんだけど、思った以上に今年は利益が大きく残っちゃってるみたいなんだ。嬉しいことなんだけど、その分税金が高くなりそうだなあ・・・もう決算直前だし、今からできる節税策って何かあるかなあ?

そういうことなら、決算賞与を考えてみてはどうかニャ?利益を減らすために単に経費を無駄遣いするより、会社にとっても従業員にとっても嬉しい節税方法だニャ。

目次

会社も従業員も嬉しい決算賞与による節税

今回ご紹介するのは、「決算賞与」を支給することで実現する節税方法です。

つまり決算の後に支給する臨時ボーナスのことですね。

この方法は、節税効果があるだけでなく、従業員のモチベーションアップを同時に達成できるため一石二鳥の節税方法となります。

決算の結果、思った以上に利益が出ていて、節税を考えなければいけないというのは、経営者にとって嬉しい悲鳴です。

でもそれは、もちろん社長さんの経営手腕によるものであることは言うまでもないですが、従業員一人一人の日々の頑張りによるものということを忘れてはいけません。

従業員への「1年間ありがとう」のねぎらいと、「今年もよろしく」の起爆剤として、決算賞与の支給を考えてみてはいかがでしょう。

決算賞与がなぜ節税に?

それではまず、決算賞与が節税になる仕組みをご説明します。

決算賞与は通常、その決算期の成績をもとに、会社の業績によって賞与支給額を決めるものです。

したがって、支払時期は通常、決算が終わった後、つまり翌期に支払われるため、本来翌期に計上するものとなります。

ですので、このままでは当期の節税にはつながりません。

しかし一定の手順を踏むことで、決算時に未払の賞与であっても、これを当期の費用として計上することができるのです。

賞与というだけあって、全従業員に支給すればその金額は決して小さくありません。

その支給金額を全額当期の費用として計上できれば、当期の税金をグッと抑えることが可能となります。

しかもその支給額は当期の(予想)利益をもとに算出するため、非常に合理的な節税方法と言えます。

決算賞与を当期の費用として計上する条件

繰り返しになりますが、決算賞与は決算時に未払いであっても、一定の要件を満たすことで当期の費用として計上できます。

具体的な要件は以下の通りです。

・決算日までに支給額を全従業員に通知

・通知した金額を、決算日翌日から1か月以内に全額支給

・通知した金額を当期の経費として計上(損金経理要件)

以上の要件を満たせれば、翌期に支払われる決算賞与を当期の費用として計上でき、利益を圧縮することができます。

賞与は従業員のモチベーションアップにもつながるので、決算賞与による節税はぜひ導入したいですね。

ちなみに、1つめの「全従業員に通知」する方法ですが、1人1人に通知するのは大変なので、全社員が見る掲示板や、メールの一斉送信などで「月給の○○か月分を支給」と通知する会社がほとんどです。

2つ目も重要な条件です。もし決算日翌日から1ヶ月以内に支給できなければ経費に入れられないので要注意です。

無計画な決算賞与は逆効果に

今回ご紹介した決算賞与による節税は、税金を減らす一方で、当然ながら賞与を払った分キャッシュはなくなりますので、資金繰りに与える影響は小さくありません。

そのバランスをよく考えて支給額を決定するようにしてください。

下記の記事で、『やってはいけない無計画な決算賞与』について詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

nyanvestor.hateblo.jp

 

なるほど!決算賞与って方法があったのか!税金を抑えるだけじゃなくて、従業員もハッピーになれる節税方法だね。経費計上の条件も明確だし、導入しやすそうだね。

そういうことだニャ。ただし、一度大きな賞与を支給してしまえば、翌期に支給ができなかった場合、逆に従業員のモチベーションダウンにつながることもニャ!いつも言うように、中長期的な視点でその節税を実行すべきかは考えるべきだニャ。