節税セレクト Vol.11 大企業だけじゃない!中小企業でもおすすめな投資系節税「従業員社宅」
お金の支出:あり
節税効果:◎
導入のしやすさ:△
従業員が沢山いる大きな企業で、社員寮を整備している会社をよく見るけど、あれも節税対策のひとつなのかな?でも社員寮って大きな会社が持ってるイメージ出す、僕たちみたいな中小企業ではなかなか難しそうだよね。
社員寮が節税につながることに気づくとは、なかなか目の付け所が鋭くなってきたニャ!その通りで、社員寮、つまり「従業員社宅」は有効な節税方法の1つだにゃ。でも、実は中小企業でも、導入すればその節税効果は大きいんだニャ。
目次
中小企業でも従業員社宅の検討を
大企業や外資系の会社が、高額なタワーマンション等を会社の社宅として従業員を住まわせているような話を聞いたことはないでしょうか?
あんな高価な部屋に従業員を住まわせるほど、うちは儲かってないよ、と自分の会社には関係ない話だと思っていませんか?
タワーマンションは無理でも、従業員に社宅を提供することは、中小企業にとっても大きな節税になるのです。
今回はこの「従業員社宅」による節税方法をご紹介します。
ちなみに、会社の社長さんが自宅を社宅とすることで実現する節税方法は、下記の記事を参考にしてみてください。
従業員社宅のメリット
従業員社宅の導入、つまり社宅を経費にすることで生じるメリットは多くあります。
今回はその中でもメインとなる2つのメリットを紹介します。
住宅手当がなくなり節税できる
この節税は簡単に言うと、従業員が今まで会社からもらった給料(住宅手当)で支払っていた家賃を、今度は会社が支払うことで節税しようというものです。
家賃の一部を会社側が負担することにより、従業員にとっては同じような立地条件・築年数・間取りの賃貸物件を借りるよりも家賃を安く抑えられます。
仮にその会社負担の家賃分を従業員の給料から減らしたとしても、メリットがあります。
なぜなら従業員からすれば家賃分は給料から減らされますが、その分所得税が安くなり、結果的には手元に残るお金が増えます。
つまり会社にとっても従業員さんにとっても嬉しい節税なんですね。
求人のアピールになる
社宅は福利厚生のひとつとして、会社のアピールポイントになります。
福利厚生が充実した会社ということで、企業イメージのアップにつなげることが可能です。
遠方に住んでいる人を採用しやすくなるため、人材不足の解消にもつながります。
社宅を用意する会社は従業員にとって満足度が高く、会社の付加価値を高める効果も期待できるでしょう。
社宅を経費にするための要件
社宅を会社の経費として計上するには3つの要件をクリアする必要があります。
これを理解しておかないと、税務否認され、かえって多くの税金を支払う羽目になりかねません。
ここでは具体的に、その3つの要件をご説明します。
従業員から一定額の家賃を徴収する
社宅の家賃を経費にするには、一定額の家賃を従業員から徴収する必要があります。
この要件を満たさないと、社宅の提供は従業員への給与とみなされ、課税対象となるため注意が必要です。
ここで一定額の家賃とは「賃貸料相当額」の50%以上のことを指します。
「賃貸料相当額」は、以下の計算式から算出します。
上記1〜3で算出した数字を合計したのが賃貸料相当額です。
この金額の50%以上を受領すれば、賃貸料相当額と従業員から受け取る家賃との差額は従業員に対する経済的利益の供与にはならず、給与とはなりません。
見ての通り、少し専門的な計算方法必要ですね。
実際に従業員社宅の利用を検討の場合は、税理士等の専門家を交えて導入を検討しましょう。
社宅の賃貸借契約は法人契約で締結する
次に2 点目ですが、「社宅は法人契約にしなければいけない」ということです。
これは形式上、法人が社宅を借りてそれを従業員に貸し付けているということにしなければいけないからです。
仮に会社契約になっていない賃貸マンションに住む従業員の家賃を補助するのであれば、この家賃補助の額を給料とみなされるため、所得税や住民税が課税されてしまいます。
大家さんへの家賃は会社名義で振り込む
最後に3 点目ですが、家賃の振込は会社名義で行わなければいけません。
理由は上記の2点目の要件と同じで、法人が社宅を借りてそれを従業員に貸し付けているということにしなければいけないからです。
従業員から従業員負担分を会社に払ってもらい、会社が大家さんへ家賃を支払うという2段階での支払いが必要となりますが、要件をクリアするためにも、このフローをしっかり構築しましょう。
社宅と住宅手当の違い
社宅と似たような福利厚生の制度として比較されるのが「住宅手当」です。
住宅手当は基本給とは別に一定の金額を支給するもので、家賃補助として家賃の支払いにあてられます。
一方、社宅は会社が従業員のために用意した住宅であり、かつ通常の家賃相場より安く入居できるものです。
したがって、社宅ならびに住居手当はいずれも福利厚生の一環です。
ただしここご重要なのですが、住宅手当は金銭で支給するため給与の扱いとなってしまいます。
つまり支給された側、つまり従業員の所得税や住民税の課税対象となり、税金が加算されます。
従業員にとっては給与の手取り額が減ってしまい、その上会社・従業員双方とも社会保険料の負担が大きくなってしまいます。
帳簿上の処理方法
従業員に社宅を貸し出す場合、前に紹介した計算式で算出した賃貸料相当額の50%以上の家賃を徴収するのであれば、従業員から徴収した家賃を家賃収入として仕訳し、差額を福利厚生費として処理します。
もし徴収額が50%に満たなければ給与として処理することになるため、課税対象となってしまいます。
どちらの場合も会社の経費になることに変わりはありませんが、社宅を無料で使用させる場合等は賃貸料相当額が全額給与として課税されるため、従業員は所得税の負担が大きくなります。
なるほど!従業員社宅が節税になる理由ってそういうことだったんだね。契約名義や支払方法の変更が必要で、他の節税に比べると少しハードルが高いかもだけど、税金を抑えるだけじゃなくて、従業員もハッピーになれる節税方法だし、ちょっと検討してみようかな!
そういうことだニャ。むしろ大企業だと大規模な変革が必要だけど、中小企業であれば柔軟に対応できるから、むしろ導入しやすい節税方法になるニャ。繰り返しになるけど、従業員負担分の計算方法も若干複雑だから、税理士さんへの相談をお勧めするニャ。