節税セレクト Vol.6 不良債権を節税に利用する⁉ピンチをチャンスにする正統派節税「貸倒損失の計上」
お金の支出:無し
節税効果:○
導入のしやすさ:▲
大変だよー!取引先が突然倒産しちゃって、売掛金が回収不能になっちゃった・・・残り100万円もあったのに、この損失は厳しいなあ・・・
それは一大事だニャ!でも絶望するのはまだ早いニャ!こんな時に経営者に求められるのは、この損失をいかに最低限に抑えられるかその対応策を考えることニャ。まずは回収不能になった売掛金を使って、節税につなげる方法を説明するニャ!
目次
あなたの会社に不良債権はありませんか?
あまり考えたくないことですが、事業をしていると、顧客に対する債権、つまり売掛金や貸付金が回収できなくなることもあります。
もちろん、まずはできる限りその回収に尽力する必要がありますが、相手側の払えない理由というのも様々で、あらゆる手を尽くしても回収は不可能な場合もあります。
でもそんな時でも、もうお手上げだと全てを諦めるのはまだ早いです。
もし100万円の債権が全て回収できなくなったとしても、そのうち30%が返ってくる方法があれば、ぜひ利用したいですよね?
さて、それをどうやって実現するのか?
当然ですが、1円も払えないと言っている相手からこれ以上回収するのは不可能です。
そこで今回は、この不良債権を経費として落とすことで節税につなげ、税金を減らすことで全額損失を免れる方法をご説明します。
「貸倒損失」を当期の費用として計上する
不良債権を経費として落とす、つまりこれは既に回収不可能となった債権を経費に振り替えるだけなので、お金が出ていくことなく節税ができます。
つまり今回の例だと、会社の資産として計上されていた100万円の債権を振り替えて、100万円の「貸倒損失」として費用に計上することで節税するのです。
こうすることで、100万円に税率をかけた金額分、当期の税金が安くなるのです。
先ほどは簡易的に30%と言いましたが、税率の高い会社であれば、さらなる節税効果が見込めます。
売掛金や貸付金を「貸倒損失」として費用計上する条件
ただ、回収できなさそうな債権(売掛金や貸付金)を貸倒損失として当期の費用にするにはいくつかの条件があります。
もうこの節税セレクトをいくつかご覧の皆さんはお察しかもしれませんが、合法的な節税と違法な節税(つまり脱税)は紙一重みたいなところがあるため、なんでもかんでも費用計上させまいと、税務署が条件を提示しているのです。
つまり、当期利益が多く出てしまった会社が、まだ回収の見込める差額の債権を不良債権として費用計上して税金を減らそうとすることを防止するt目の条件ですね。
具体的には以下のとおりです。
①会社更生法、民事再生法といった法律の規定に基づいて切り捨てられた金額
②相手先が死亡、失踪、行方不明などの場合
③相手先との取引がなくなって1年以上を経過した場合
これらの条件のいずれかに合致した時点で、費用計上が可能となります。
③については、「取引」の中に「一部返済」も含まれるため、取引から1年以上経過していても、その間に少しでも返済が行われていたら、その時点から1年以上の経過が必要となるのでご注意ください。
ただ、この③については、1年待たずとも経費にする方法もあります。
それは、書面によってこちらから正式に債権を放棄してしまうという方法です。(債務免除)
どうせ返ってこないという債権でしたら、それをゾンビ債権にしてしまうより、手っ取り早く節税に使ってしまった方がいいかもしれません
なるほど!売掛金を貸倒損失として計上することで、その税金分が会社に返ってくるってことだね。こうすれば、100万円まるまる損することを免れるね!こういう時こそ、冷静に被害を最小限に抑える対策が必要だね。
そういうことだニャ。他にも、回収不能分の資金繰りのための資金調達の検討や、別の取引先との関係を悪化させない対策など、経営者として能力が試される時ニャ!ここは踏んばって耐える時ニャ!