やってはいけないNG節税 Vol.2「無計画な決算賞与」

今年は業績が好調で利益が大きくなっちゃったから、気前よく全社員を対象に決算賞与を支給しようと思うんだ!節税もできて、従業員のモチベーションアップにもつながるからおいしいことばっかりだよね。

ちょっと待つニャ!決算賞与は確かに多くの会社で使われる節税方法かもしれないけど、考えなしに支給を決めてしまうと、あとから痛い目を見るニャ。まずは、決算賞与を当期の費用に計上できるか確認が必要ニャ!

目次

多くの会社で利用される「決算賞与」による節税

あなたの会社では、決算賞与を支給していますか?

今回はこの決算賞与による節税についてお話しします。

タイトルが「NG節税」となっているので、既に導入している経営者の方は「え!決算賞与は節税にならないの⁉」と思われているかもしれません。

ここは勘違いしてほしくないのは、決して「決算賞与」がNGなのではなく、タイトルの通り「無計画な」決算賞与がNGということです!

では、詳しく見ていきましょう。

決算賞与がなぜ節税に?

それではまず、決算賞与が節税になる仕組みをご説明します。

決算賞与は通常、その決算期の成績をもとに、会社の業績によって賞与支給額を決めるものです。

したがって、支払時期は通常、決算が終わった後、つまり翌期に支払われるため、本来翌期に計上するものとなります。

ですので、このままでは当期の節税にはつながりません。

しかし一定の手順を踏むことで、決算時に未払の賞与であっても、これを当期の費用として計上することができるのです。

賞与というだけあって、全従業員に支給すればその金額は決して小さくありません。

その支給金額を全額当期の費用として計上できれば、当期の税金をグッと抑えることが可能となります。

しかもその支給額は当期の(予想)利益をもとに算出するため、非常に合理的な節税方法と言えます。

決算賞与を当期の費用として計上する条件

繰り返しになりますが、決算賞与は決算時に未払いであっても、一定の要件を満たすことで当期の費用として計上できます。

具体的な要件は以下の通りです。

・決算日までに支給額を全従業員に通知

・通知した金額を、決算日翌日から1か月以内に全額支給

・通知した金額を当期の経費として計上(損金経理要件)

以上の要件を満たせれば、翌期に支払われる決算賞与を当期の費用として計上でき、利益を圧縮することができます。

賞与は従業員のモチベーションアップにもつながるので、決算賞与による節税はぜひ導入したいですね。

ちなみに、1つめの「全従業員に通知」する方法ですが、1人1人に通知するのは大変なので、全社員が見る掲示板や、メールの一斉送信などで「月給の○○か月分を支給」と通知する会社がほとんどです。

翌期に年間支給額を調整するのであれば、決算賞与はNGかも

ここからは、決算賞与による節税の中でも、失敗しがちなNG節税の紹介です。

決算を迎え、節税のために気前よくドンと多額の決算賞与支給を行っても、その分期中の支給額を大幅に減らし、年間の支給額が例年と変わらない、というケースが多くみられます。

このケースの何が問題かと言うとかえって従業員のモチベーションを下げる要因になる可能性があるということです。

従業員は会社にとって、今後半永久的に貢献してくれる貴重な財産です。

その従業員に対する会社からの最たる還元方法の賞与を、節税の調整弁として使うことは非常に危険です。

たとえ税金が一時的に抑えられたとしても、従業員から経営者に対する不信感につながってしまえば、それは税金以上の損失につながりかねません。

もし、賞与の額を翌期に調整する想定で決算賞与を考えているのであれば、一度落ち着いて考え直した方がいいかもしれません。

決算期翌月末が土日祝日の時は要注意

先ほど、翌期に支払われる決算賞与を当期の費用とする要件として「通知した金額を、決算日翌日から1か月以内に全額支給」というものを説明しました。

ここで注意が必要なのは、決算期の翌月末、つまり要件の期限となる1か月後が土日祝日だった場合、その支給は翌々月になってしまう場合があります。

この場合、たとえ土日祝日であることが理由だったとしても、要件を満たしていないと判定されてしまうのでご注意ください。

決算期翌月末が土日祝日の場合は前営業日を支給日とするなど、対策をしっかり取りましょう。

役員賞与は原則損金不算入

最後にもう一つ注意してほしいのが、役員に対する決算賞与は、事前に一定の手続きを経た上での支給でない限り、損金算入できないということです。

ただし、対象が使用人兼務役員である場合は、従業員分とみなされるため、決算賞与が損金算入可能となります。

 

決算賞与を当期の費用として計上するには、満たすべき要件があるんだね。しかも賞与だからと言って無計画に支給してしまうと、むしろ従業員からの不信感にもつながってしまうなんて、思いもよらなかったな・・・

そういうことだニャ。要件を満たしていない決算賞与は節税効果が無くなってしまうことに注意が必要ニャ。決算賞与による節税も、所詮は期ズレによる節税ニャ。期ズレのために会社の将来を台無しにすることだけは避けなきゃならないニャ。