節税セレクト Vol.5 まだ支払っていない費用も経費にできる?タイミングを見極める正統派節税「未払金・未払費用の当期計上」

お金の支出:無し

節税効果:○

導入のしやすさ:○

今回は5つ目の正統派節税「未払金・未払費用の当期計上」についてだね。支払の時期が「翌月払い」になっている経費って時々あるけど、その場合は支払った月にしか費用計上はできないんだよね?

そんなことはないニャ。費用計上のタイミングは会社によって若干の違いが出てくるから、一概には言えないんだニャ。少なくとも、その経費の効果がその月に帰属するものであれば、支払いが生じてなくても費用計上することは可能だニャ!

目次

まだ支払い期限の来ていない費用でも、費用計上は可能

今回お説明するのは、当期中に発生した費用ではあるものの、支払いが翌期になってしまう費用を、決算できっちりと当期の経費として計上することで節税をするというものです。

具体的には、人件費、社会保険料、電話代などの通信費、広告宣伝費、リース料、保険料、消耗品費等がそれに該当します。

今回は、その中でも特に金額的インパクトの大きい人件費と社会保険料についてご説明します。

人件費の未払分を当期の費用として計上する

まずは人件費、つまり給料についてです。

決算月の月末において、未払給与となっている金額を、当期の経費として計上することがで節税ができます。

この節税方法は、あなたの会社の給料の締め日が末日ではなく、月の半ば(15日とか20日とか)であれば可能な節税です。

例えば12月決算の会社で、毎月15日を給与の締め日、従業員の給与の合計が月額500 万円である会社を想定してみましょう。

通常、12月15日~12 月末実までの給与は、翌年の1月に支払うことになるため、翌期の費用として計上しなければならないように思われますが、決算をする上では、それは12月の経費、つまり当期の費用として計上することができます。

つまり、500 万円の半分、250 万円も未払給与を計上できるわけです。

社会保険料の未払分を当期の費用として計上する

次に、社会保険料も同様に未払計上することで経費にすることができます。

皆さんも把握できている方は少ないかもしれませんが、毎月末に支払われる社会保険料というのは、実は前月分に該当する社会保険料なのです。

つまり、先ほどの例示で出てきた会社でいうと、当期の12月分の社会保険料は、翌年1月末に支払われているのです。

ということは、先ほどの人件費同様、翌年1月末に落ちる社会保険料を未払経費として
計上することでができるのです。

従業員の少ない会社の場合は大したインパクトはないかもしれませんが、ある程度の従業員を雇っている会社の場合、その金額は意外と大きな節税にもつながりますので、あなどらないようにしましょう。

さらに言うと、決算賞与などを払った場合には、その分の社会保険料も未払計上できますから、さらに金額は大きくなります。

なお、当たり前ですが、未払計上できるのは社会保険料のうち会社の負担分のみです。

以上のように、決算月の末日において未払となっている費用を当期の経費として計上することで、節税が可能となります。

これは人件費や社会保険料に限らず、他の経費においても言えます。

まだ支払時期が来ていない経費でも、当期中の経費であることが説明できるものであれば未払計上は可能ですので、ぜひ積極的に利用してみてください。

費用計上のタイミングはコロコロ変えられない

さて、今回は費用計上のタイミングをうまく利用することで、節税を実現する方法をご説明しましたが、一つ大事な注意点があります。

それは、当期中に未払計上した経費は、基本的に翌期の決算も同様の処理が必要となる点です。

例えば、先ほどの12月決算の会社において、当期は事業が好調のため利益が5,000万円も出てしまったため、節税のために上記のような未払計上によって節税を実施したとします。

そしてその翌期の決算において、前期の好調の跳ね返りの影響で、ほぼ利益が0に近かったとします。

この場合、経営者としては当期の税金はほぼ無いようなものですので、これ以上経費を増やしても意味がないため、当期は先ほどの未払計上処理を行わない、というのはNGなのです。

これを認めてしまうと、経営者の都合のいいように納税税金をコントロールできてしまうので、費用計上のタイミングは特段の理由がない限り変更できず、継続していくことが求められるのです。

なるほど!支払期限の来ていない未払いの経費でも、未払金・未払費用として計上することで、当期の費用にできるんだね。でも、翌期以降もおんなじ方法で計上しないといけないとなると、慎重な判断が必要そうだね!

そういうことだニャ。だからこの節税方法は、想定以上の利益が一時的に出てしまった時や、どうしても税金支払いのための資金繰りが厳しい時に、ここぞというタイミングで使うべきニャ!