ちょっと今の税理士さん、頼りないところがあるんだよなあ。事業も軌道に乗ってきたし、税理士変更を考えてるんだけど、書類の準備とかすごく大変そうで、このまま我慢したほうがいいのかなぁ。。。
そんなことないニャ!税理士は事業主にとって最も重要なパートナーの一人ニャ。妥協は禁物ニャ。今日は、実際に税理士を変更する具体的な準備や手続き方法について説明するニャ!
目次
現在の顧問税理士との契約内容を確認
税理士変更をする際は、まず、現在の顧問税理士との契約書の内容を確認します。
契約書には必ず契約の解除についての取り決めがあります。
そこに、「契約の解除は〇〇か月前までに書面をもって申し入れる」などの記載があれば、その通りに行う必要があります。
ちなみに、契約書を交わしていない場合はいつでも好きなタイミングで契約の解除を申し出ることができますが、交わしたかどうかよく覚えていない、もしくは契約書を紛失した場合等は、まずは現在の顧問税理士と確認をした方が良いでしょう。
必要書類の準備
つぎに、後任税理士への引継のため、必要書類を集めます。
下記で紹介する書類について、できる限り全ての書類を現在の顧問税理士に解約を申し入れる前に用意する必要があります。
必要書類は大きく分けて、次のものがあります。
・決算報告書
・届出書・申請書
・会計書類
・その他の書類
これらの書類は、社内で保存されていれば問題ありませんが、顧問税理士が保管している場合もありますので、その場合は早めに税理士に連絡して取り寄せます。
注意点として、この時点で税理士変更を考えている胸は伝えず、「会計の勉強のため」「過去の数字や書類を確認したい」などと伝えた上で顧問税理士にお願いしましょう。
決算報告書
顧問税理士と契約している場合、決算に関する各種申告書類は税理士が作成しています。
具体的には以下の通りです。
・法人税の確定申告書
・都道府県民税の申告書
・市町村税の申告書
・消費税の申告書
・償却資産税の申告書
・年末調整の関係書類
・決算書 など
これらは別々で作成されているものではなく、基本的に決算報告書として1つに綴じられています。
これを直近の3年分用意し、後任税理士に引き継ぎます。
届出書・申請書
ずいぶん昔に設立された法人や、移転、社屋建て替えなどがあった場合は、探すのが困難かもしれませんが、下記の書類も引継に必要です。
・法人設立届
・青色申告の承認申請書
・消費税に関する各種届出書
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 など
会計書類
日々の記帳業務について、会計ソフトへのデータ入力も含めて依頼している場合は、税理士から会計データを全て入手する必要があります。
会計ソフトを自社で導入して入力を行っている場合は自分でデータを抽出します。
それら下記のデータに関する証票類も併せて、後任税理士に引き継ぎます。
・請求書・領収書などの証票類
・仕訳帳
・総勘定元帳
・試算表 など
その他の書類
上記の書類に併せて、次の書類も用意しましょう。
・登記事項証明書(履歴事項全部証明書・登記簿謄本など)
・定款(原始定款・変更がある場合は変更登記申請書など)
登記事項証明書は近くの法務局で入手可能です(全国どこでも可)。
もし定款が手元にない場合は、手続きを依頼した司法書士や行政書士に確認しましょう。
その他の書類でも、後任税理士から依頼があった場合は用意が必要になるため、打ち合わせ時に確認するようにします。
現在の顧問税理士へ、解約の申し入れをする
上記の準備が完了し、税理士変更の決心がついたら、いよいよ現在の顧問税理士にお断りの連絡をします。
契約書に記載された解約の時期と方法さえ守れば、月一回の打ち合わせの時でも構いません。
ここで注意していただきたいのが、後で揉めることがないよう、口頭で申し入れたとしても、必ず後日正式に書面で送る、等の方法を取りましょう。
長年付き合いのあった税理士を変更する場合、やはり言い出しづらいこともあるかと思います。
そん時によく使われる決まり文句としては
・親戚・友人が税理士事務所を開業した
・取引先の社長の息子が税理士事務所を開業し、社長から顧問の就任を依頼された
・融資を受けることになり、銀行から提携の税理士に変更して欲しいと依頼された
というような感じで「仕方なく契約の継続ができない」という理由にすると、スムーズに解約ができるかもしれません。
税理士の変更を行う際の注意点
上記でもいくつか述べましたが、スムーズに税理士変更を進めるうえで、次のようなことにも注意して進めることをお勧めします。
・後任税理士を確定した上で申し入れを行う
・繁忙期は避ける
・決算月から余裕をもった時期に変更する
・解約期限から余裕を持った申し入れを
後任税理士を確定した上で申し入れを行う
現在の顧問税理士に解約の申し入れを行った場合、契約期間終了後は一切会計の業務が行われません。
ですので、申し入れまでの間に必要書類を全て入手し、後任税理士との打ち合わせが完了していないと、会計業務に支障が出てしまいます。
税理士を変更する際は、後任税理士を探す所から、打ち合わせの期日、必要書類の入手、現在の税理士との解約時期と申し入れ時期など、全てのスケジュールについてあらかじめ計画を立ててから行うようにしましょう。
繁忙期は避ける
変更するタイミングは、税理士が多忙な時期である3月や税金の支払い時期などに行うのは避けましょう。
必要書類の入手に時間がかかったり、引継内容にミスが生じたりする可能性があるからです。
解約期限から余裕を持った申し入れを
契約期限ギリギリでの解約を申し入れは避けましょう。
担当者間の連絡がうまくいかずに、きちんと伝わらなかったり、期限までに書面が届かず、申し入れが行われていない状態になったりする、など不測の事態を避けることができます。
決算月から余裕をもった時期に変更する
税理士変更のタイミングは、自社の決算月から余裕を持った時期にするのがおすすめです。
例えば3月決算なのに、2月に税理士変更を依頼した場合と、そもそも後任税理士が契約を結べない可能性があります。
なぜなら、税理士は定期的な訪問・会計のチェックをしたうえで、年間の決算作業をおこなう必要がありますので、決算前のギリギリで前任の税理士から引き継がれた場合、後任税理士にとっては「重大なミスが生じる可能性が高い状態」になります。
後任税理士は、会社の事業状態・お金の流れ・ビジネスの状況など把握すべきことがたくさんあります。
なるべく決算まで余裕がある状態で、税理士の変更ができるようにしましょう。
新しい税理士を探すときのポイント
この記事をご覧の方は、何かしら現在の顧問税理士に不満があることかと思います。
「今の税理士が苦手なことに対応できる税理士がいい」と思っているかもしれませんが、他にも確認をしておく必要があります。
そこでここからは後任税理士を探すときのポイントを紹介します。
税理士の得意・苦手分野を把握する
実は税理士によって、得意・不得意な分野は大きく異なります。
例えば「今の税理士は最新の会計システムの知識が乏しいから、最新の会計システムに強い人がいい」と思うかもしれません。
でも、もし会計システムに強い税理士を選んだとしても、現在の税理士よりも税務知識が少なかったり、経験が乏しかったりする可能性もあります。
自分はどういう税理士に依頼したいのか?を明確にしておきましょう。
対面(もしくはリモート)で会って判断する
税理士を選ぶときに、その税理士の能力だけでなく、人間性も非常に重要です。
税理士とは今後、長期的な信頼関係を築く必要があり、自分の事業・会社の税務を信頼して託せる人ではないといけないからです。
例えば税理士としての能力が高くても、自分との相性が悪い場合、長期的な信頼関係は築けず、後々トラブルに発展するかもしれません。
できれば一度対面で会うか、遠方であったりスケジュールが合わない場合はリモートで直接お話しし、その税理士がどんな人なのかを直接判断しましょう。
税理士への希望を明確にしておく
新しく依頼する弁護士には、自分がやってほしいことを明確に伝えましょう。
例えば前の税理士で不満に思っていたことがあれば、後任税理士には「ここだけはやってほしい」と伝えておきます。
契約前に明確な希望を伝えることで、その後のすれ違いが生まれにくくなります。
後任税理士としても、明確な希望を伝えてもらうことで、自分がやるべきこと・注力すべきことが分かります。
なるほど。税理士変更って大変かと思ったけど、きちんと準備をして手続きを行えば、そこまで難しくなさそうだね。
そうニャ。
もし今の税理士に何らかの不満があったり、会計処理方法に疑問があれば、一度税理士変更を考えてみると、新しい視点での節税や決算対策などに関する助言がもらえて、収益の拡大につながる可能性もあるんだニャ!