やってはいけないNG節税 Vol.1「経費の無駄遣い」

節税のために、決算直前に経費をたくさん使ってみたんだけど、会社の資金繰りが厳しくなってきちゃったんだよね・・・毎年この時期は会社のお金がない気がするんだけど、本当に節税できてるのか不安になってきたよ・・・

それは節税の罠にまんまと陥ってしまってるんだニャ。本当に決算直前に使った経費は会社に必要な経費だったかニャ?必要な時期の支出だったかニャ?単なる無駄遣いになってないかニャ?「節税」の意味を今一度よく考えてみるニャ!

目次

「節税」と「無駄遣い」、ちゃんと区別できている?

まず、経営者が節税をしようとする際、最初に思いつくのが「経費を増やす」ことで利益を減らす節税です。

ただ、単に経費を増やそうとして、ただの無駄遣いになっていませんか?

これが正に、やってはいけないNG節税の典型例「経費の無駄遣い」です。

節税の名目で、本来必要のない資産の購入や、無駄な飲み会などをしても、それは単にお金が減ってしまうだけです。

「期ズレ」も必ず節税につながるとは限らない

また、いわゆる「期ズレ」によって経費を先取りして行う「節税」は無駄遣いではないと思われるかもしれませんが、必要な時期に支出しなければ無駄遣いになる可能性があります。

さらに、先取りした結果、単に支払う回数が増えてしまったというのはよくある話です。

節税のため、となると皆さん意識が疎かになってしまいますが、経費をどのタイミングで計上するかというのはとても重要で、タイミングを誤ると無駄になる可能性が非常に高いのです。

節税の目的を今一度確認しよう

節税の目的は一体何でしょうか?

それは「会社の資金繰り」をよくすることです。

ただ、上記のような無駄遣いや誤った期ズレ計上を行えば、それは単なる無駄遣いとなり、資金繰りはかえって悪化するでしょう。

結局、税金を払った方が得だったんじゃないかな・・・なんてケースも多くみられます。

バカみたいな話ですが、会社を経営すると必ず皆さん一度経験する失敗談ではないでしょうか。

この経費の無駄遣いは、目先の税金を減らせますが、長い目で見れば何の効果もありません。

「税金を支払う方が無駄遣いだ」という気持ちも、かつて税金で苦労した身として非常に理解できます。

ただ感情的になって、必要のない経費を計上して利益を圧縮しても、今後の会社の将来を見据えた時、メリットよりデメリットの方が大きくなることを認識しておいてください。

無駄遣いするくらいなら、従業員へ還元を

会社のお金を無駄遣いするくらいなら、私はそれを従業員に還元することをお勧めします。

一番わかりやすいのは、給料や賞与の増加ですね。

役員報酬を増加させても、原則損金に認められないため、従業員への還元が一番の節税対策です。

それにより従業員のモチベーションや会社への貢献意欲がアップすれば一石二鳥です。

でも、一度給与や賞与を上げてしまうと、その後下げられなくなるんじゃないかという不安もあるかと思います。

そこで、私の一番のおすすめは「福利厚生の充実」です。

手っ取り早いのが、従業員への定期的な差し入れなどですが、少しハードルを上げて、家賃補助や、法人で利用できる福利厚生プランへの加入などを考えてもいいでしょう。

私がおすすめの理由は、これは今の従業員のモチベーションアップだけでなく、将来の従業員、つまりリクルート活動における大きなアピールポイントになる点です。

ぜひ、検討してみてはいかがでしょうか。

う・・・確かに。僕がやっていたのは節税ではなく、ただの経費の無駄遣いだった気がする・・・だから資金繰りもうまくいかなくなってるんだね。これからは、それらのお金を従業員へ還元できないか考えてみるよ。

そういうことだニャ。じつは「節税」と「無駄遣い」は紙一重なんだニャ!そして残念ながら、会社が大きくなるには税金を払うことが必要なんだニャ。会社の将来をちゃんと考えて、ベストなお金の使い方を考えるのが、良い経営者の仕事なんだニャ。

 

節税セレクト Vol.5 まだ支払っていない費用も経費にできる?タイミングを見極める正統派節税「未払金・未払費用の当期計上」

お金の支出:無し

節税効果:○

導入のしやすさ:○

今回は5つ目の正統派節税「未払金・未払費用の当期計上」についてだね。支払の時期が「翌月払い」になっている経費って時々あるけど、その場合は支払った月にしか費用計上はできないんだよね?

そんなことはないニャ。費用計上のタイミングは会社によって若干の違いが出てくるから、一概には言えないんだニャ。少なくとも、その経費の効果がその月に帰属するものであれば、支払いが生じてなくても費用計上することは可能だニャ!

目次

まだ支払い期限の来ていない費用でも、費用計上は可能

今回お説明するのは、当期中に発生した費用ではあるものの、支払いが翌期になってしまう費用を、決算できっちりと当期の経費として計上することで節税をするというものです。

具体的には、人件費、社会保険料、電話代などの通信費、広告宣伝費、リース料、保険料、消耗品費等がそれに該当します。

今回は、その中でも特に金額的インパクトの大きい人件費と社会保険料についてご説明します。

人件費の未払分を当期の費用として計上する

まずは人件費、つまり給料についてです。

決算月の月末において、未払給与となっている金額を、当期の経費として計上することがで節税ができます。

この節税方法は、あなたの会社の給料の締め日が末日ではなく、月の半ば(15日とか20日とか)であれば可能な節税です。

例えば12月決算の会社で、毎月15日を給与の締め日、従業員の給与の合計が月額500 万円である会社を想定してみましょう。

通常、12月15日~12 月末実までの給与は、翌年の1月に支払うことになるため、翌期の費用として計上しなければならないように思われますが、決算をする上では、それは12月の経費、つまり当期の費用として計上することができます。

つまり、500 万円の半分、250 万円も未払給与を計上できるわけです。

社会保険料の未払分を当期の費用として計上する

次に、社会保険料も同様に未払計上することで経費にすることができます。

皆さんも把握できている方は少ないかもしれませんが、毎月末に支払われる社会保険料というのは、実は前月分に該当する社会保険料なのです。

つまり、先ほどの例示で出てきた会社でいうと、当期の12月分の社会保険料は、翌年1月末に支払われているのです。

ということは、先ほどの人件費同様、翌年1月末に落ちる社会保険料を未払経費として
計上することでができるのです。

従業員の少ない会社の場合は大したインパクトはないかもしれませんが、ある程度の従業員を雇っている会社の場合、その金額は意外と大きな節税にもつながりますので、あなどらないようにしましょう。

さらに言うと、決算賞与などを払った場合には、その分の社会保険料も未払計上できますから、さらに金額は大きくなります。

なお、当たり前ですが、未払計上できるのは社会保険料のうち会社の負担分のみです。

以上のように、決算月の末日において未払となっている費用を当期の経費として計上することで、節税が可能となります。

これは人件費や社会保険料に限らず、他の経費においても言えます。

まだ支払時期が来ていない経費でも、当期中の経費であることが説明できるものであれば未払計上は可能ですので、ぜひ積極的に利用してみてください。

費用計上のタイミングはコロコロ変えられない

さて、今回は費用計上のタイミングをうまく利用することで、節税を実現する方法をご説明しましたが、一つ大事な注意点があります。

それは、当期中に未払計上した経費は、基本的に翌期の決算も同様の処理が必要となる点です。

例えば、先ほどの12月決算の会社において、当期は事業が好調のため利益が5,000万円も出てしまったため、節税のために上記のような未払計上によって節税を実施したとします。

そしてその翌期の決算において、前期の好調の跳ね返りの影響で、ほぼ利益が0に近かったとします。

この場合、経営者としては当期の税金はほぼ無いようなものですので、これ以上経費を増やしても意味がないため、当期は先ほどの未払計上処理を行わない、というのはNGなのです。

これを認めてしまうと、経営者の都合のいいように納税税金をコントロールできてしまうので、費用計上のタイミングは特段の理由がない限り変更できず、継続していくことが求められるのです。

なるほど!支払期限の来ていない未払いの経費でも、未払金・未払費用として計上することで、当期の費用にできるんだね。でも、翌期以降もおんなじ方法で計上しないといけないとなると、慎重な判断が必要そうだね!

そういうことだニャ。だからこの節税方法は、想定以上の利益が一時的に出てしまった時や、どうしても税金支払いのための資金繰りが厳しい時に、ここぞというタイミングで使うべきニャ!

 

節税セレクト Vol.4 飲食代はどこまで経費で落とせる?簡単そうで分かりにくい正統派節税「5,000円以下交際費」

お金の支出:無し

節税効果:◎

導入のしやすさ:◎

今回は4つ目の正統派節税「5,000円以下交際費」についてだね。よく、居酒屋とかで領収書を法人でもらっている人を見かけるけど、ああいう場所での飲食代って経費で落とせるの?

どんな場所での飲食代でも、条件さえクリアできれば経費として計上可能ニャ!でもその話をする前に、この「交際費」を説明する上で「接待交際費」「会議費」「福利厚生費」など、皆が混乱しやすい用語が沢山出てくるから、まずはその説明をするニャ!

目次

お店での飲食代の勘定科目って何?それって経費で落とせるの?

よく取引先の人との会食や、社内のメンバーで食事をしながらの打ち合わせにかかった費用について、交際費なのか会議費なのか、はたまた福利厚生費なのかよく分かりませんという相談をよく受けます。

さらに「交際費」と言ったり時には「接待交際費」と言ったり、いったい何通りの言い方があるんだと、わけが分からなくなってしまう方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

たしかに、非常に分かりにくいですよね。

ここでは、これらの使い分けと、どうすれば節税につなげられるかを整理しながらお話ししていこうと思います。

ずばり、交際費とは

交際費とは、税法上で規定されている費用のひとつで、法人がその得意先や仕入れ先などの利害関係者に接待・贈答といった行為のために支出したものを指します。

交際費は事業に貢献する費用とは必ずしも捉えられず、「基本的に」は損金に算入できないという考え方があります。

ただ、これはあくまで「基本的に」ですので、その例外が大事になってきます。

こちらは後述しますので、今はなんとなく、交際費の意味を把握しておいてもらえればと思います。

「交際費」と「接待交際費」は同義です

交際費の話をする際、「接待交際費」という言葉がよく出てきます。

よく、「交際費」とは別に「接待交際費」という勘定科目があるのではないかと勘違いされやすいのですが、そうではありません。

「接待交際費」とは、経理上の正式名称ではなく、交際費と同様の費用に対する俗称です。

この「接待交際費」も勘定科目名としては設定することができますが、交際費と同じく、基本的に損金算入ができません。

あまり難しく考えず、勘定科目上の名称が異なるだけ、と覚えていただければ問題ありません。

会議費、福利厚生費との違いは?

基本的に損金に算入されない交際費(接待交際費)と混同されがちな勘定科目が「会議費」と「福利厚生費」です。

「会議費」と「福利厚生費」はあくまで事業を行う上での必要経費として捉えられますので、全額損金に算入されます。

では、この損金に算入できない「交際費」と、全額損金に算入できる「会議費」「福利厚生費」はどのように判別するのでしょうか。

おおよその考え方は以下の通りです。

  1. 会議費として判定される(損金算入できる)ケース
    通常の社内ミーティングや社外利害関係者との業務の打ち合わせなど、通常の業務の範囲内の会議にかかる費用であれば、業務の遂行に必要な経費と考えることができ、会議費として損金算入が可能です。
  2. 福利厚生費として判定される(損金算入できる)ケース
    通常業務に必要な経費ではないものの、従業員全員を対象として飲食などの支出を行った場合、その費用は福利厚生費として計上され、事業に必要な経費として損金算入されます。
  3. 交際費として判定される(損金算入できない)ケース
    通常の業務に必要な経費ではなく、社外の利害関係者と関係を良好に保つための接待飲食などで支出された費用は交際費として計上され、基本的に損金算入されません。

つまり経営者の視点で整理すれば、①社内・社外問わず、一般的な「会議」の実態を伴ったものに必要な飲食費等(会議費)と、②社内の全員を対象とした飲食費等(福利厚生費)は全額損金に算入できるため、特に懸念点はありませんね。

やっかいなのが基本的に損金算入されない③社外、もしくは社内の一部の人達との、一般的な「会議」とは言えないような飲食費等(交際費)です。

でも安心してください。

上述したように、交際費は「基本的に」損金算入されないのであって、交際費であっても損金算入できる場合があります。

ここからは、ここにフォーカスしてお話ししていきます。

【補足】2024年度税制改正大綱により、経費として認められる1人あたり5000円以下の飲食費を1万円以下まで拡充する方針が明記されました。2024年4月1日以後に関しては、以下の文章を「5000円以下」→「1万円以下」に読み替えてご参照ください。

交際費が損金算入できる条件とは

ここまで交際費(接待交際費)は「基本的に」損金算入されないと説明してきましたが、税務上、次のいずれかに該当する場合は交際費であっても損金算入することを許容しています。

5,000円以下の場合、例外的に「会議費」として全額を損金算入できる

上記において③の「交際費」として判別された場合でも、それらにかかった飲食費等が1人につき5,000円以下の支出であれば、それは例外的に「会議費」として計上することができ、上記の①と同様に全額損金とすることができます。

ただし会議費として計上するには、しかるべき書類や情報が適切に保管されている必要があります。

具体的には、下記のような事項を帳簿上に残すことで計上が可能となります。

・飲食の日付
・飲食に参加したメンバーの氏名とその関係
・飲食に参加した人数
・飲食の金額、飲食店の名称および所在地
・その費用が飲食費であることを明らかにするその他必要事項

引用:国税庁|No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算

なお、この5,000円以下の交際費に判別された場合、特に会議費として計上しなくてはいけない理由はないのですが、全額を損金算入できる費用であるため、便宜上会議費として計上することが一般的です。

これが、この交際費と会議費を混同されてしまう大きな原因となっているんですね。

年間800万円までの交際費は損金算入できる

1人当たりの飲食費等が5,000円を超えてしまった場合も諦めないでください。

資本金1億円以下の法人であれば、年800万円までの交際費は損金算入ができるんです。

具体的には、申告書の別表十五における交際費等の損金算入に関する明細書のなかでこの部分を考慮して計算を行い、算定した「交際費等の損金不算入額」を別表四にて加算調整します。

まとめ

では、結局どうすれば最も効果的な節税につながるのか。

私が皆さんにアドバイスする際は、「飲食の際は、1人当たりの飲食費の金額を5,000 円以内に抑えるてください。」とお伝えしています。

例えば、お客さんと食事に行って3人で14,000 円だったら会議費でOK、16,000 円
なら交際費として処理しないといけないということですね。

交際費として処理した場合も800万円までは損金算入できるものの、間違いないのは5,000円以下で抑えた会議費です。

ここで大事なのは、上述したようなしかるべき情報を残すために、きちんと領収書などにどこの誰と何人で行ったのかというのを記載しておくことです。

なお、よく聞かれるのが居酒屋やスナックのようなところでの飲食代でも、5,000円以下であれば会議費として計上できるのか?という質問ですが、問題ありません。

場所に限らず、接待のための飲食であれば1人当たり5,000 円という基準が適用されます。

お店で料理やお酒を注文するときに「5,000円以内か」を気にしながら飲み食いするのはちょっと残念ですが、少しでも経費にしたい方は5,000円という数字を意識してみてください。

なるほど!1人当たり5,000円以下の飲食費であれば、上限に関わらず全額損金に算入できるんだね。1度の飲食では金額は小さいけど、その積み重ねになれば大きな節税につながりそうだね!

そういうことだニャ。ちょっと専門用語がややこしくて混乱してしまいそうだけど、金額と、その情報の残し方さえ気にすればすぐに節税につながる超効果的な節税方法の1つニャ!やらない手は無いニャ!

 

節税セレクト Vol.3 自宅の家賃は会社に払わせる!?意外と簡単な正統派節税「自宅の社宅利用」

お金の支出:無し

節税効果:◎

導入のしやすさ:○

今回は3つ目の正統派節税「自宅を社宅利用」して実現する節税方法だね。「社宅」って、つまり会社に所属する人に対して、会社が持ってる物件を貸してあげるってことだよね?それがどう節税につながるの?

簡単に言えば、今自分が住んでるマンションの家賃を、会社に負担させる節税方法ニャ!家賃の全額を丸々会社負担にすることは難しいけど、固定費である家賃の一部を経費にできる方法は、大きな節税効果を生むニャ!

目次

家賃を会社にも負担させる!正統派節税「自宅を社宅利用」

自分の住んでいる賃貸住宅の家賃を、会社の経費にすることができるのをご存じでしょうか?

いわゆる自宅を「社宅」とすることによる節税です。

例えば、月額20万円の家賃を支払っているのであれば、それを役員報酬として手にした社長のポケットマネーから支払うのではなく、ダイレクトに会社の経費として計上できれば、大きな節税につながりますよね。

ただ、結論から言うと、自宅の家賃全額、つまり100%を会社の経費として計上するのは難しいです。

でも、50%~70%くらいであれば、合法的に会社の経費とすることができます。

これにより、経費として計上できる以上、会社としては利益を減らし節税になる上に、社長の個人負担も大きく軽減できるのです。

自宅が賃貸の場合は、賃貸借契約主を個人ではなく法人に

この節税を使う上で最も重要な点は、大家さんとの賃貸借契約を社長個人で結ぶのではなく、法人として契約する点です。

つまり、家賃は会社から大家さんに毎月支払い、社長自身は会社と取り決めた家賃の自己負担分を会社に払うのです。

これにより、社長の自宅は、税法上の社宅という扱いになります。

注意点として、広い社宅(床面積が木造で132 ㎡、木造以外で99 ㎡を超える場合)の場合は計算方法が異なってきますので、その点も留意してくださいね。

自宅が持ち家の場合は、所有者を法人にする

上記の例は賃貸の場合でしたが、「うちは持ち家だから無理?」と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ご心配なく、持ち家でも、そこを社宅とする方法はあります。

少し賃貸より手間がかかってしまいますが、その方法をお教えします。

まず、法人が住宅を購入して、自宅を会社所有の物件としてしまうのです。

その上で、会社と社長個人の間で賃貸借契約を結ぶことにより、「会社が社長に家を貸す」という形をとるのです。

この場合、社長は会社にいくらの家賃を払えばいいのか疑問に思われるかもしれませんが、これも計算方法というのが税法で定められています。(一般的な相場と比べるとかなり安い金額で済みます。)

ただしこの方法、まず個人の自宅を会社に売却する必要があり、いくらで売るのか、さらにその購入資金を会社でどう準備するのか、といった問題に対し、人ひと手間かける必要が出てきます。

ただ決して難しいことではありません。

いずれも、顧問税理士に相談すれば比較的容易に実現できる手法ですので、やはり社宅を使った節税は効果的であると言えます。

なるほど!自宅にかかる費用を一旦会社の経費とすることで、節税につながるんだね。確かに社長さんが役員報酬としてもらったお金で家賃を払うより、断然税金を抑えられそうだね!

そういうことだニャ。ただ、ここの説明にもあるように、会社と社長個人で取り決める家賃負担については、いくらでもいいわけじゃないから、そこは税理士に相談して決めるべきニャ。この節税方法も上手く使えば、かなりの節税効果が見込めるから、やらない手は無いニャ!

 

節税セレクト Vol.2 出張のたびに手取りが増える!?お得な正統派節税「旅費規程&出張手当」

お金の支出:無し

節税効果:◎

今回は2つ目の正統派節税「旅費規程&出張手当」に関することだね。出張するとかかる経費ってあると思うけど、それを会社の経費にすることは当たり前な気がするんだけど・・・

この節税方法にはちょっとしたからくりがあるんだニャ!今日はそのからくりと、正しく節税効果を受けられる方法について説明するニャ!

目次

出張が多い場合は対応必須。正統派節税「旅費規程&出張手当」

出張の多い会社は、出張の度にその手当として「出張手当」を支給することでかなりの節税が可能です。

ただし、「出張したから、はい、100万円」と出張者に無条件にお金を出しても、もちろん節税にはなりません。

かと言ってそのハードルは決して高くはなく、正しい手順を踏むことで、大きな節税効果を生むことができます。

会社の「旅費規程」を作成することが絶対条件。

出張手当を経費にするためには、まず「旅費規程」を作成しないといけません。

その旅費規程の中で、役員や従業員が出張に行った際、「出張手当」を支給する旨の規定を設けます。

こうすることで、出張手当が「旅費規定」において正式に認められた手当となり、会社の経費にすることができるのです。

つまり、出張の際にかかった経費等(交通費や宿泊費)をそのまま領収書によって会社の経費にする「実費精算」ではなく、「出張に行ったら1日につき〇〇円支給する」という形で手当として支給するのです。

なぜこのような方法を取ると節税になるのか、以下でみていきましょう。

出張手当として支給することで起きる2つの節税効果

この方法による節税効果は大きく分けて2つあります。

1つ目はもらった人(社長)にとってのメリットであり、2つ目は支給した会社にとってのメリットです。

つまり、会社ももらった人も、どちらもハッピーになれる節税方法なのです。

それでは具体的に説明していきます。

個人の所得扱いとはならない出張手当は税金がかからない

まず、1つ目のもらった人(社長)のメリットですが、この手当は社長のポケットマネーになるにもかかわらず、個人の所得扱いにはならないのです。

つまり簡単に言うと、会社からお金をもらうにも関わらず、税金がかからないのです。

通常、会社からお金をもらうと、それが給与であれ賞与(ボーナス)であれ、必ず税金が天引きされて支給されます。

これは給与・賞与というのは個人の所得として扱う以上、各種税金が天引きされた金額を支給する必要があるためです。

しかし、この支給金額を出張手当としてもらうとあら不思議、この支給額には税金が全くかからず、そのままの全額を手取りとできるのです。

会社の負担する消費税を減らすことができる

2つ目の会社にとってのメリットは、この手当が消費税の課税対象となることです。

これはちょっと詳しく説明すると難しい話になってしまうため、簡単に説明します。

会社が支払うべき消費税は「受け取った消費税(売上)ー支払った消費税(仕入・経費)」によって計算されます。

したがって、支払った消費税が多ければ多いほど、払うべき消費税は少なくなるのです。

つまり、出張手当を支給することによって、会社で負担する消費税が安くなるのです。

具体例に当てはめて見てみましょう。

高額な役員報酬を取っている社長は、個人の所得税・住民税の合計税率は50%を上回ります。

つまりその社長に、100 万円給与を上乗せした場合、その半分の50 万円は税金でとられてしまうのです。

ところが、これを出張手当として支給することで、この100万円は個人の所得に含まれず税金がかからないため100 万円がそのまま自分の手元に残るのです。

これだけで50万円の節税になるわけです。

もちろん、1回の国内出張で100万円の手当というのは、金額があまりに高額で、税務署に否認される可能性は高いため、節税方法としてはNGです。

出張手当として妥当な金額として、1日2 万円くらいまでなら特に問題はないとされています。

つまり、1か月に8回くらい出張があり、1日2万円の出張手当を支給した場合であれば

1か月の出張手当は8万円、年間にすると96万円もの経費を税金がかかることなく計上できるのです。

なるほど!出張にかかった経費を実費精算するんじゃなくて、手当として支給すれば、もらった個人と支給した会社、どちらも税金を抑えられるんだね!

そういうことだニャ。ただし、その支給条件や支給額をあらかじめ旅費規定に記載しておくところが肝だニャ。上手く使えば、かなりの節税効果が見込めるから、やらない手は無いニャ!

 

顧問税理士は重要なパートナー、妥協は許さない!?顧問税理士を変更する場合の事前準備と手続き方法

ちょっと今の税理士さん、頼りないところがあるんだよなあ。事業も軌道に乗ってきたし、税理士変更を考えてるんだけど、書類の準備とかすごく大変そうで、このまま我慢したほうがいいのかなぁ。。。

そんなことないニャ!税理士は事業主にとって最も重要なパートナーの一人ニャ。妥協は禁物ニャ。今日は、実際に税理士を変更する具体的な準備や手続き方法について説明するニャ!

 

目次

 

 

現在の顧問税理士との契約内容を確認

税理士変更をする際は、まず、現在の顧問税理士との契約書の内容を確認します。

契約書には必ず契約の解除についての取り決めがあります。

そこに、「契約の解除は〇〇か月前までに書面をもって申し入れる」などの記載があれば、その通りに行う必要があります。

ちなみに、契約書を交わしていない場合はいつでも好きなタイミングで契約の解除を申し出ることができますが、交わしたかどうかよく覚えていない、もしくは契約書を紛失した場合等は、まずは現在の顧問税理士と確認をした方が良いでしょう。

必要書類の準備

つぎに、後任税理士への引継のため、必要書類を集めます。

下記で紹介する書類について、できる限り全ての書類を現在の顧問税理士に解約を申し入れる前に用意する必要があります。

必要書類は大きく分けて、次のものがあります。

・決算報告書

・届出書・申請書

・会計書類

・その他の書類

これらの書類は、社内で保存されていれば問題ありませんが、顧問税理士が保管している場合もありますので、その場合は早めに税理士に連絡して取り寄せます。

注意点として、この時点で税理士変更を考えている胸は伝えず、「会計の勉強のため」「過去の数字や書類を確認したい」などと伝えた上で顧問税理士にお願いしましょう。

決算報告書

顧問税理士と契約している場合、決算に関する各種申告書類は税理士が作成しています。

具体的には以下の通りです。

法人税の確定申告書

都道府県民税の申告書

・市町村税の申告書

・消費税の申告書

・償却資産税の申告書

・年末調整の関係書類

・決算書 など

これらは別々で作成されているものではなく、基本的に決算報告書として1つに綴じられています。

これを直近の3年分用意し、後任税理士に引き継ぎます。

届出書・申請書

ずいぶん昔に設立された法人や、移転、社屋建て替えなどがあった場合は、探すのが困難かもしれませんが、下記の書類も引継に必要です。

・法人設立届

青色申告の承認申請書

棚卸資産減価償却方法、為替換算方法などの届出書

・消費税に関する各種届出書

・給与支払事務所等の開設届出書

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 など

会計書類

日々の記帳業務について、会計ソフトへのデータ入力も含めて依頼している場合は、税理士から会計データを全て入手する必要があります。

会計ソフトを自社で導入して入力を行っている場合は自分でデータを抽出します。

それら下記のデータに関する証票類も併せて、後任税理士に引き継ぎます。

・請求書・領収書などの証票類

・仕訳帳

・総勘定元帳

・試算表 など

その他の書類

上記の書類に併せて、次の書類も用意しましょう。

・登記事項証明書(履歴事項全部証明書・登記簿謄本など)

・定款(原始定款・変更がある場合は変更登記申請書など)

登記事項証明書は近くの法務局で入手可能です(全国どこでも可)。

もし定款が手元にない場合は、手続きを依頼した司法書士行政書士に確認しましょう。

その他の書類でも、後任税理士から依頼があった場合は用意が必要になるため、打ち合わせ時に確認するようにします。

現在の顧問税理士へ、解約の申し入れをする

上記の準備が完了し、税理士変更の決心がついたら、いよいよ現在の顧問税理士にお断りの連絡をします。

契約書に記載された解約の時期と方法さえ守れば、月一回の打ち合わせの時でも構いません。

ここで注意していただきたいのが、後で揉めることがないよう、口頭で申し入れたとしても、必ず後日正式に書面で送る、等の方法を取りましょう。

長年付き合いのあった税理士を変更する場合、やはり言い出しづらいこともあるかと思います。

そん時によく使われる決まり文句としては

・親戚・友人が税理士事務所を開業した

・取引先の社長の息子が税理士事務所を開業し、社長から顧問の就任を依頼された

・融資を受けることになり、銀行から提携の税理士に変更して欲しいと依頼された

というような感じで「仕方なく契約の継続ができない」という理由にすると、スムーズに解約ができるかもしれません。

税理士の変更を行う際の注意点

上記でもいくつか述べましたが、スムーズに税理士変更を進めるうえで、次のようなことにも注意して進めることをお勧めします。

・後任税理士を確定した上で申し入れを行う

・繁忙期は避ける

・決算月から余裕をもった時期に変更する

・解約期限から余裕を持った申し入れを

後任税理士を確定した上で申し入れを行う

現在の顧問税理士に解約の申し入れを行った場合、契約期間終了後は一切会計の業務が行われません。

ですので、申し入れまでの間に必要書類を全て入手し、後任税理士との打ち合わせが完了していないと、会計業務に支障が出てしまいます。

税理士を変更する際は、後任税理士を探す所から、打ち合わせの期日、必要書類の入手、現在の税理士との解約時期と申し入れ時期など、全てのスケジュールについてあらかじめ計画を立ててから行うようにしましょう。

繁忙期は避ける

変更するタイミングは、税理士が多忙な時期である3月や税金の支払い時期などに行うのは避けましょう。

必要書類の入手に時間がかかったり、引継内容にミスが生じたりする可能性があるからです。

解約期限から余裕を持った申し入れを

契約期限ギリギリでの解約を申し入れは避けましょう。

担当者間の連絡がうまくいかずに、きちんと伝わらなかったり、期限までに書面が届かず、申し入れが行われていない状態になったりする、など不測の事態を避けることができます。

決算月から余裕をもった時期に変更する

税理士変更のタイミングは、自社の決算月から余裕を持った時期にするのがおすすめです。

例えば3月決算なのに、2月に税理士変更を依頼した場合と、そもそも後任税理士が契約を結べない可能性があります。

なぜなら、税理士は定期的な訪問・会計のチェックをしたうえで、年間の決算作業をおこなう必要がありますので、決算前のギリギリで前任の税理士から引き継がれた場合、後任税理士にとっては「重大なミスが生じる可能性が高い状態」になります。

後任税理士は、会社の事業状態・お金の流れ・ビジネスの状況など把握すべきことがたくさんあります。

なるべく決算まで余裕がある状態で、税理士の変更ができるようにしましょう。

新しい税理士を探すときのポイント

この記事をご覧の方は、何かしら現在の顧問税理士に不満があることかと思います。

「今の税理士が苦手なことに対応できる税理士がいい」と思っているかもしれませんが、他にも確認をしておく必要があります。

そこでここからは後任税理士を探すときのポイントを紹介します。

税理士の得意・苦手分野を把握する

実は税理士によって、得意・不得意な分野は大きく異なります。

例えば「今の税理士は最新の会計システムの知識が乏しいから、最新の会計システムに強い人がいい」と思うかもしれません。

でも、もし会計システムに強い税理士を選んだとしても、現在の税理士よりも税務知識が少なかったり、経験が乏しかったりする可能性もあります。

自分はどういう税理士に依頼したいのか?を明確にしておきましょう。

対面(もしくはリモート)で会って判断する

税理士を選ぶときに、その税理士の能力だけでなく、人間性も非常に重要です。

税理士とは今後、長期的な信頼関係を築く必要があり、自分の事業・会社の税務を信頼して託せる人ではないといけないからです。

例えば税理士としての能力が高くても、自分との相性が悪い場合、長期的な信頼関係は築けず、後々トラブルに発展するかもしれません。

できれば一度対面で会うか、遠方であったりスケジュールが合わない場合はリモートで直接お話しし、その税理士がどんな人なのかを直接判断しましょう。

税理士への希望を明確にしておく

新しく依頼する弁護士には、自分がやってほしいことを明確に伝えましょう。

例えば前の税理士で不満に思っていたことがあれば、後任税理士には「ここだけはやってほしい」と伝えておきます。

契約前に明確な希望を伝えることで、その後のすれ違いが生まれにくくなります。

後任税理士としても、明確な希望を伝えてもらうことで、自分がやるべきこと・注力すべきことが分かります。

 

なるほど。税理士変更って大変かと思ったけど、きちんと準備をして手続きを行えば、そこまで難しくなさそうだね。

そうニャ。
もし今の税理士に何らかの不満があったり、会計処理方法に疑問があれば、一度税理士変更を考えてみると、新しい視点での節税や決算対策などに関する助言がもらえて、収益の拡大につながる可能性もあるんだニャ!

利回り10%!?収益不動産ってそんなに儲かるの?

知り合いに不動産を紹介されて、利回りがなんと10%らしいんだ!6000万円の物件なんだけど、年間600万も儲かるから思い切って買っちゃおうかな!

ちょっと待つニャ!
その利回りは物件価格の10%儲かるって意味とは全く異なるニャ!
まずは利回りの意味をちゃんと知ることが重要ニャ!

 

不動産投資で扱われる「利回り」の本当の意味

皆さんも、上記のような美味しい話を持ちかけられたことはないでしょうか?

不動産投資は、しっかり知識を備えて挑戦すれば、資産形成するスキームとして非常に有効な手段となりますが、金額が大きく動くため、多くの罠が仕掛けられていることを忘れてはいけません。

まず、利回りには大きく分けて2種類が存在します。

  • 表面利回り
  • 実質利回り

重要なのは、不動産投資の物件紹介でよく見るのはこの内「表面利回り」であることがほとんどです。

しかしこの表面利回りは、決して「年間を通じて、物件価格の10%が手元に残る(利益として儲かる)」という意味ではありません。

なぜなら、この表面利回りには、不動産運用に必要な「必要経費」が全く考慮されていないからです。

下の方でもう少し詳しく見ていきましょう。

表面利回りとは

表面利回り計算式
想定される年間家賃収入 ÷ 物件の購入価格 = 表面利回り

上の計算式の通り、「表面利回り」は、単に

物件価格に対してどの程度の家賃収入が得られるかという表面的な収益性

を表す数値に過ぎません。

計算式からもわかるように、維持管理費や固定資産税など、物件を保有することで必ずかかるコストを計算に入れていないので、実質的な利回りとは異なります。

ここで具体的な数値を基に比較してみましょう。

  • 物件A    価格(税込み) 6,000万円   想定家賃月額 50万円
  • 物件B    価格(税込み) 6,000万円   想定家賃月額 45万円
  • 物件A 表面利回り
    50万円×12か月 ÷ 6,000万円 = 0.10(10.0%)
  • 物件B 表面利回り
    45万円×12か月 ÷ 6,000万円 = 0.09(9.0%)

2つの物件を表面利回りで比較すると、物件Aのほうが利回りが高く評価されます。

では次に、実質利回りを見ていきましょう。

実質利回りとは

実質利回り計算式
(年間家賃収入 - 年間経費) ÷ (物件の購入価格 + 購入時諸経費) = 実質利回り

上の計算式の通り、実質利回りとは

マンション経営にかかる経費等を考慮して計算した実質的な収益性

を表す数値です。つまり投資家にいくらお金が残るかを指し示す指標となります。

ちなみに、不動産経営にかかる経費には、購入時の諸費用以外にも固定資産税・都市計画税、建物管理費、賃貸管理費(広告費等含む)、修繕費など、様々な経費があります。

さて、表面利回りと同様に物件Aと物件Bを比較してみましょう。

  • 物件A    価格(税込み) 6,000万円   想定家賃月額 50万円
    購入時諸経費 500万 
    年間経費 210万円
  • 物件B    価格(税込み) 6,000万円   想定家賃月額 45万円
    購入時諸経費 500万 
    年間経費 85万円
  • 物件A 実質利回り
    (50万円×12か月-210万円)÷(6000万円+500万円)=0.06(6.0%)
  • 物件B 実質利回り
    (45万円×12か月-85万円)÷(6000万円+500万円)=0.07(7.0%)

実質利回りでみると、物件Aよりも、物件Bのほうが利回りが大きく(儲かる)ことがわかります。

 

え!表面利回りで有利だと思った物件が、実質利回りで見ると逆転しちゃう場合があるんだ・・・。

そういうことニャ。これは極端な例だけど、大事なことは、表面利回りではなく実質利回りで見ないと、実際に自分の手元に残るお金を正確に知ることができないってことニャ。

 

不動産投資を決断する前に想定すべきことは多い

不動産投資を検討する場合、上記の通り、表面利回りではなく実質利回りで試算しておく必要があることが分かりましたが、不動産投資に関する罠はまだまだたくさん潜んでいます。

例えば、上記の計算式では必要最低限のコストしか考慮されていませんが、下記のようなものです。

  • 融資を利用した場合の支払い利息
  • 賃貸解約時の原状回復費用
  • 新規賃貸契約成約時の仲介手数料
  • 突発的な修繕費の支出(事故や災害等)
  • 空室が発生した場合の空室損失

特に注意したいのは、最後の空室損失です。

お気づきの方もいるかもしれませんが、上記で利回りを計算する際に利用している月額賃料は

あくまで満室を想定した場合の賃料です。

不動産を運用する上で、空室リスクは避けて通れません。

 

なるほどー。単純に儲かりそうって気持ちで手を出すと、不動産投資は痛い目に遭っちゃいそうだね。起こりうるリスクをちゃんと想定して、その上で決断しなきゃいけないね。

そういうことだニャ!
でも不動産投資は、しっかり知識を持って、リスクに備えた経営ができれば、とっても優秀な資産形成スキームになり得るニャ!